特定社会保険労務士とは
1.特定社会保険労務士とは?
社会保険労務士の中で「紛争解決手続代理業務試験」に合格し、厚生労働大臣から紛争解決の代理業を行なうことが認められた者を特定社会保険労務士(国家資格者)といいます。
なお、当該試験を受けるためには、約3か月の間、約63時間の特別研修を受講することが必要です。(平成20年4月1日現在)
2.どのような業務ができるの?
特定社会保険労務士は、「労働関係トラブル解決のための知識を身につけた社会保険労務士」です。
従来の社会保険労務士業務に加え、労働問題紛争に関する「あっせん代理」等のADR(※)での対応ができるようになります。
つまり、紛争当事者(会社または労働者)に代わってトラブル解決に係わることができる訳です。
解雇問題、賃金関係の問題、セクハラ、パワハラなど会社内で発生した労働問題に対して、「裁判になる前に、事前対処として円滑かつ早期解決を図ることを目的」とし、一方の代理人として紛争解決を目指します。
こうしたトラブルは自己解決以外には、弁護士への依頼、裁判での決着が主でしたが、その一部が社会保険労務士へ解放されました。
ただし、やはり裁判での代理人にはなれず、あくまでもADRの代理人としてのみ対応可能です。
業務の概要は次のとおりです。
@個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行うあっせんの手続の代理
A男女雇用機会均等法、育児・介護休業法およびパートタイム労働法に基づき都道府県労働局が行う調停の手続の代理
B個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせんの手続の代理
C個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体(民間ADR機関)が行う紛争解決手続の代理
(※)ADRとは?
ADRとは「裁判外紛争手続き」の略称で、仲裁・調停・あっせんなどの、裁判によらない紛争解決方法を広く指すものです。定義すれば、「訴訟手続によらず民事上の紛争を解決しようとする紛争の当事者のため、 公正な第三者が関与して、その解決を図る手続」となります。
☆ニセ社会保険労務士に注意!!
労働・社会保険の手続業務や労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成業務など について、報酬を得て行えるのは、社会保険労務士法により社会保険労務士の資格を付与された社会保険労務士だけです。
無資格者はもちろん、経営コンサルタント会社などの法人組織の会社や、労務管理士と称していても社会保険労務士でないものが上記の業務を行えば、法律違反となります。
国家資格者である社会保険労務士は、社会保険労務士証票および都道府県社会保険労務士会会員証など身分を証明するものを所持していますので、依頼する際には気兼ねなく提示を求めましょう。